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COMMUNICATIONS

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京都の端から、こんにちは 第63回

井上章一(所長)
2026年4月30日

 愛犬家の人たちは、しばしば飼い犬に英米風の名前をつけます。「ジョン」、「レオ」、あるいは「エリザベス」というように。往来でも、その名でよぶわけです。「ジョン、とまりなさい」、「ベス、そっちへいってはいけません」、と。

 あれを聞いて、英米の人たちはどう思うのでしょう。たとえば、ジョン君は、どんな気持ちになるのでしょうか。「ジョン、だめだめ、こっちへきなさい」。日本語がわかるジョン君のことを想うと、少し気の毒になってしまいます。

 私の若いころには、あんな名前をつけなかった。「ポチ」、「ブチ」、「太郎」…和風の名前が多かったはずです。それが、いつのまにか、「ジョン」や「ベス」になりました。これは日本大衆文化史のテーマになりますね。あと、猫にはこの変化がおよびきらなかったこともね。まあ、「ポチ」には舶来の可能性もあるのですが。

 知人の女性が、家の掃除に円形の自動掃除機をつかっています。いわゆる「ルンバ」です。彼女は、この機械を「キャサリン」と名付けました。勝手な動きをしめすルンバに、「キャサリン、ハウス!!」と声をかけたりするそうです。来客にキャサリンさんがいないことをねがうのみですね。