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COMMUNICATIONS

エッセイ

新たな原点から旅立つ

孫詩彧(助教)
2024年5月10日

 孫詩彧(ソンシイク)です。2023年の10月から、インスティテューショナル・リサーチ室*助教として日文研に着任しました。

 私は社会学が専門で、主に家族とジェンダーの研究をしています。これまでの研究では、子どもの誕生と成長を夫婦がともに経験していくなかで、共働き家族における家事育児の分担がどのように調整されていくのか実証的に分析してきました。東アジアをフィールドにした国際研究を行うなかで、家庭における意思決定に各国の文化規範が大きく影響していることを常々実感しています。 そこで、最近、日本に暮らす外国人の子育て問題を、住まいに着目して検討する研究プロジェクトを始めました。国際的な見地から日本文化を捉える日文研という場所で、 異なる住まいと子育て文化を背景にしたこの研究を 深められると期待しています。

 また、ジェンダーの観点から月経と生理用品の研究も行っています。民俗学や人類学に接点を持つこのテーマについても、日文研の風土を生かして、更に開花させていきたいと願っています。

 このように社会学をベースにする私の研究は、日文研に新しい色を添えることになるでしょう。 現代日本のジェンダー問題が強く批判を受けている反面、日本はかつて ジェンダーレスな歴史も持っていました。記録を取り、データを集めてその声に耳を傾けることが、よりよい方向性を見極める材料になります。こうした私の研究の根底にある発想は、 人文学の研究にも、IRの仕事にも、共通するものだと考えています。

 これからは、自分の関心をIR業務とも結びつけながら、日文研を新たな原点に、心躍る研究の旅へ出発したいと思っています。

 どうぞよろしくお願いします。

2022年に出版した単著とGASP研究グループのオリジナルポーチ、研究室からみる日文研の景色を背景に(著者撮影)

*インスティテューショナル・リサーチ室では、日文研における研究、教育等に関する活動についての情報を収集・分析し、組織運営の改善にかかる企画・立案及び意思決定の支援を行います。