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COMMUNICATIONS

連載記事

【連載】京都の端から、こんにちは 第12回

井上章一(所長)
2021年9月28日

 先日、ICAS 12(第12回アジア研究国際大会)という学会にまねかれ、スピーチをしました。あとひとり、総合地球環境学研究所の山極壽一所長も、同じ務めをはたしています。ふたりのやりとりもあったのですが、ちょっとした意見の齟齬も生じました。

 山極さんは、これまでの資本主義に修正をせまりたいと言われます。私は、そういう作業もけっきょく資本主義に回収されるだろうと、のべました。山極さんは、ピンとこられなかったようです。また、私もその当座は、うまく説明することができませんでした。

 あとで思いついたことを、書きます。資本主義の社会は、あらゆるものを商品化しようとします。おそろしいことに、資本主義を否定する営為も、商品化してしまいます。つまり、資本主義というからくりのなかに、くみこんでいくのです。たとえば、マルクスの本なんかを20世紀のベストセラーとしたように。

マルクス画像
カール・マルクス(Karl Marx. portræt en face by Unknown - Arbejdermuseet & ABA, Denmark - Public Domain.)
https://www.europeana.eu/en/item/2024917/photography_ProvidedCHO_Arbejdermuseet___ABA_F20130707073

 山極さんの反資本主義的な志も、けっきょく商品化されるんじゃあないか。また、そうならないかぎり、現実的な力をもちえない。私が言いたかったのは、それだけです。まあ、屁理屈かもしれません。いずれにしろ、よく説明できなかったことを、今は悔いています。