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COMMUNICATIONS

エッセイ

国際シンポジウム「国際的視野から眼差す日本メディアと大衆文化史 ―放送100周年に見出す知と課題」に参加して

安藤千穂子(プロジェクト研究員)
2025年10月10日

 2025711日から13日に、国際シンポジウム「国際的視野から眼差す日本メディアと大衆文化史放送100周年に見出す知と課題」が日文研で開催されました。大衆文化研究プロジェクトの継承と国際日本研究の拡充を目指した企画です。

 本シンポジウムは、日文研の太田奈名子先生と、共同主催であるアムステルダム大学のキャロリン・バードソール先生により発案されました。議論の場に参加できたことへの深い感謝とともに、私なりにこの三日間のシンポジウムを振り返ります。企画の趣旨は開催報告などに詳しいので、あわせてご参照ください。

 初日は吉見俊哉先生(東京大学、國學院大学)の基調講演が、12日と13日には、鄭知喜先生(ソウル大学校)とヘンリー・ローレンス先生(ボードウィン大学)の基調講演があり、つづいて、専門分野も活躍されている国も異なる、17名の研究者による発表がおこなわれました。講演と発表のテーマは幅広く、学際性に富んでいたという感想が、シンポジウムの多くの参加者から聞かれました。私もそのことを強く感じた一人です。また、参加者の誰もが自由かつ開かれた態度で議論に臨んでおられたことは、開催に尽力されたお二人の先生が意図したシンポジウムの姿でもあったのではないでしょうか。

 本シンポジウムには、「知」と「課題」を見出すという副題が添えられています。それぞれの参加者は、どのような知を発見し、なにを課題として持ち帰ったのでしょうか。私個人は、メディア研究が歴史的に有してきた「物質性」にたいする問いを、参加したセッションでの議論をつうじて、改めて意識することができました。

 本シンポジウムで得られた研究上のヒントや貴重な繋がりによって、私の研究対象である19世紀の日本の写真に、いま新たな気持ちで向き合うことができています。

日文研の職員の方が手作りされたウェルカムメッセージが、三日間の出会いを祝していました。初日の朝に筆者撮影。