COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第46回
井上章一(所長)
2024年8月26日
日本人は自己肯定感が、国際的にくらべると弱いそうです。自分をとるにたらない存在だとうけとめやすい傾向があると、よく聞きます。各種のアンケート調査で、そういう結果がでているんでしょうね。
ですが、そういったアンケートを、ほんとうに信じてもいいのでしょうか。日本人の会話には、謙虚をよそおう言いまわしが、いっぱいあります。友人へのプレゼントを、「つまらないものですが」と言ったりしますよね。人へふるまうごちそうも、「粗飯」と言うのがふつうです。思いついたアイデアも、公的な場では「愚考」、「愚案」として提示します。
自分をちっぽけに見せる。能ある鷹は爪をかくす。出る杭はうたれる。そういう処世術とともに生きているところがあるんじゃないでしょうか。だから、アンケートにもですぎたことは書かないようにしているかもしれません。アンケートの回答も、それでひっこみじあんになってはいないでしょうか。