COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第28回
井上章一(所長)
2023年1月30日
国際日本文化研究センターは、海外各国から研究者をうけいれてきました。なかでも、中国からは、おおぜいの方々がやってこられたと思います。先日、台湾もふくめた日文研滞在歴のある中国人研究者との意見交換会が、ひらかれました。
私もまねかれ、挨拶をいたしました。前回おつたえしたような話を、披露したんですよ。みなさん、とうとう日文研周辺にクマがあらわれました。感染症対策で、人の出入りを制限したおかげですね。人がへったので、クマも近づけるようになったんですよ、と。
意外な反応が、かえってきました。2013年に滞在されていた劉暁峰先生が、おっしゃったんですよ。クマなら、2013年に自分も見た。ただ、その時はクマを見かけたという自分の話は、信じてもらえなかった。みんなに、否定された。でも、井上のスピーチでクマの出現がたしかめられ、うれしいって。
私はおどろきました。9年も前に、クマは出没していたんですね。感染症対策で人がへったからじゃあないんですよ。そもそも、日文研はクマが接近しやすいところに立地しているんですね。前回私がひねりだした仮説はまちがっていたんだと、かみしめました。