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連載記事
京都の端から、こんにちは 第17回
井上章一(所長)
2022年2月28日
私はながらく髪の毛を、黒くそめてきました。じっさいには、まったくの白髪です。まあ、ちかごろはハゲはじめてもいますが。
毛染めにふみきったのは、もう30年以上前のことになります。当時、私はしばしば自分の娘を保育園へおくり、またむかえにいっていました。そして、ある時、彼女が他の園児にからかわれている現場を、目撃したのです。「また、おじいちゃんがむかえにきている」と。娘はけんめいに反論をしていました。「おじいちゃんじゃない。おとうちゃんや」と。しかも、泣きながら。
これで、私はふんぎりをつけたのです。ですが、もう娘もりっぱな大人です。私じしん孫のいる、ほんとうのおじいさんになりました。もう、そろそろ毛染めはやめようかなと思いだしています。
でも、いきなり毛を白くして出勤すれば、職場のみなさんはおどろかれるかもしれません。この場をかりて、あらかじめ予告をしておきます。私は、もうすぐ白髪になってあらわれるでしょう。まあ、気のかわる可能性もないとは言えないのですが。