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COMMUNICATIONS

エッセイ

日文研図書館の優しいルール

王志松(北京師範大学教授/日文研外国人研究員)
2021年7月15日

 国際日本文化研究センター図書館の利用規定はユニークです。センター内の研究者の場合、本の貸出は一度に100冊まで、返却の期限も6カ月以内と比較的緩やかです。また、時間外利用が可能な日には、カードキーで出入りすることができます。

 外国人研究員の立場からすると、60万冊もの蔵書を有している図書館をあたかも個人図書室のように利用している気分になります。30年近い研究生活の中で国内外多くの図書館を利用してきましたが、これまでこんな規定に接したことはありません。ですから、担当者から図書館の利用方法を紹介された時には、実に驚きました。と同時に、心底から喜びが湧き上がりました。

 そんな利用規定によるためか、ここでは他の図書館では見られない壮観な光景をよく目にします。貸出本と返却本を山のように積み上げて運ぶ台車が、何台も行ったり来たりするのです。

 私はまだ台車を使ったことはありません。滞在している日文研ハウスから図書館までは、歩いて2分ぐらいの距離です。何か調べたければ、すぐ図書館に行けます。新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で一時閉館したこともありますが、個人として図書館の利用を少しも不自由に感じたことはありません。

 日本国外で日本研究に従事する者にとって、一番困ることは、資料の収集です。コロナ禍の今でも順調に資料調査をできるのは、このユニークで優しい規定のおかげです。

王先生図書館写真