COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第3回
井上章一(所長)
2020年12月23日
日文研は京都市の西郊、西のはずれにあります。山裾の研究所ですね。街は遠い。でも、勉強へうちこむには、うってつけの環境です。じっさい、建築もどこか修道院や寺をしのばせる構えに、なっています。
](https://newsletter-draft.nichibun.ac.jp/nichibun_nl/wp-content/uploads/2021/01/延暦寺-300x201.jpg)
比叡山延暦寺(延暦寺)[平安京都名所図会データベースより](日文研所蔵)
交通の便は、やや改善されました。できたころは、ほんとうにひどかったんですよ。立地をきめたのは、初代所長の梅原猛でした。その梅原さんに、まだ若かった私は、なじりながら、こうたずねたことがあります。
梅原先生、まさか、比叡山に学問所をもうけた最澄とはりあって、ここをえらんだんじゃあないでしょうね。
図星だったのかな。梅原さんは、真顔で言いかえされたんですよ。井上君、そのことを人前では言うな、って。9世紀初頭の最澄と20世紀末の御自身が、梅原さんの脳裏では東西の対になっていたようです。
えらい人は考えることがちがいますね。