COMMUNICATIONS
日文研退任にあたって
私は、本年3月末日、3期8年に及ぶ日文研の所長職を任期満了により退任いたしました。 着任時は、法人第2期の中期目標中期計画(中目中計)期間の半ばにあたり、第3期中目中計の策定が始まっていました。国立大学の予算の削減が大学共同利用機関にも及び、ミッションの再定義や機能強化が強く求められており、任期前半はこれへの対応に追われる日々でした。
紆余曲折の末、所員の方々の協力を得て、幸いにも、国内の主要な大学の関連機関との連携・機能強化を図ることを目的とした「国際日本研究」コンソーシアムの設立と、近年日本文化の魅力として大いに注目を集めている大衆文化の国際的・総合的研究を目指した「大衆文化研究」の、二つの機能強化プロジェクトが認められ、任期後半は、これらのプロジェクトが実りあるものになるよう組織改編や国内外の研究機関との学術協定の締結などを押し進めました。
日文研は他の研究機関の追従を許さぬ30年に及ぶこの方面の蓄積をもっており、現在は、それを大いに活用しつつ、上述の二つのプロジェクトをバネにさまざまな野心的な事業を展開しており、今や国際日本研究のナショナル・センターとしての高い評価を国内外から得るに至っております。
しかしながら、安穏としているわけにはいきません。2年後の第4期では、大学共同利用機関の4つの機構に総合研究大学院大学を加えた5つの組織が「連合体」を構成するという未知の将来に加えて、今も猛威をふるっているコロナウイルス禍の混乱もあり、慎重な対応が必要です。しかし、日文研に対する国内外からの期待はいっそう高まっておりますので、伸ばすところは伸ばし修正すべきところは修正し、所員一丸となって、国際日本研究のさらなる発展に尽力していただきたいと思います。
所長在任の8年間は、私のこれまでの人生の中でもとりわけ喜怒哀楽に満ち満ちた波乱万丈の日々でした。その経験を今後の人生にも生かしていきたいと思っています。在任中にご協力くださった所員をはじめとして、国内外の研究者の方々、事務の方々に、心から感謝申し上げます。