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COMMUNICATIONS

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京都の端から、こんにちは 第59回

井上章一(所長)
2025年12月26日

 このごろは、社会のデジタル化がすすんでいます。生活のさまざまなところで、電脳端末が活用されるようになりました。人文学の世界も、その例外ではありません。じつに多くの資料が、コンピュータで検索できるようになりました。

 しかし、これは著作者の権利を侵害しかねない事態です。いや、ことは著述だけにかぎりません。写真などの記録も、今はかんたんに見ることができます。撮影者の権利も、ほうっておけばないがしろにされやすくなるでしょう。被写体となった人たちの肖像権も同じですね。

 このごろは、そういった権利を保護する度合いが強まっています。この傾向は、デジタル化の進展がささえているのかもしれません。デジタル検索の普及で、諸権利がおかされやすくなっている状況を、なんとかしよう。以上のような思惑もあって、そんな権利が、より強くまもられだしているのではないでしょうか。デジタルの波が大きくなったぶん、権利保護の防波堤も立派になってきた……。

 昨今、人文学の世界でも、権利問題のせいでデータ利用に制限をかけるケースがふえています。もし、それがデジタル人文学の普及に由来するのなら、なかなかあじわいぶかい。人文学に利便性をもたらす仕掛けのおかげで、不便をこうむることになるわけですから。