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COMMUNICATIONS

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京都の端から、こんにちは 第54回

井上章一(所長)
2025年5月27日

 英語にサツマという言葉があります。Satsumaとつづります。日本の鹿児島、旧薩摩をさすことは、ほとんどありません。ミカンの一種、いわゆる温州ミカンを、そうよびます。ロンドンのスーパーマーケットでも、サツマという表示で売られています。

 アメリカのさる外交官夫人が鹿児島でたべたミカンを、たいそう気にいったそうです。母国にも、もちかえりました。それがフロリダへつたわり、アメリカで栽培されだします。

 20世紀のはじめごろには、いくつかの栽培地がサツマへと地名をかえました。そんなサツマ地区から、英語圏へこのミカンは普及していきます。とうとう、品種名までサツマになりました。

 ごぞんじでしょうか。ヨーロッパでは、グリコのポッキーがミカドという商品名で、流通しています。このミカドとサツマを両手にもって、ショーグンというレストランで記念写真をとりましょう。ヨーロッパ旅行中に、明治維新を追想した記録がのこせますよ。

 ざんねんながら、まだチョーシューという商標は見たことがありません。