COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第50回
井上章一(所長)
2025年1月31日
11月16日と17日に、私たちはカイロ大学で国際シンポジウムを開催しました。テーマは近代化です。アラブ世界と日本の近代が、さまざまな角度からくらべられたと思います。
会場での接遇にさいしては、カイロ大日本語学科の学生もはたらいてくれました。みな、日本語は上手でしたよ。聞くと、アニメ鑑賞が役にたったと、彼らは言っていましたね。日本のポピュラーソングも語学学習にはいかせるのだそうです。日本の大衆文化が好まれているのかと思い、うれしくなりました。
ただ、学生の就職先は、それほど多くありません。半数以上は観光業に従事するそうです。ありていに言えば、日本人旅行者を案内する観光ガイドですね。
日本へのあこがれだけで、日本語学科をえらんだわけではないようです。日本人が、よくエジプトへやってくる。ピラミッドやスフィンクスにあこがれて、カイロへおしよせる。そんな様子を見て、日本語学習へいどみだした学生さんも、けっこういるんですね。日本文化じたいがうやまわれているわけではないと、かみしめさせられました。