COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第37回
井上章一(所長)
2023年12月4日
10月13日に、私たちはコシノ ヒロコさんをおまねきしました。講堂の舞台へでていただき、いっしょに語りあったのです。演題は「世界に翔く日本のファッション―過去から未来へ」。お相手は、不肖私と日文研の劉教授がつとめました。
もとより、学術的なつどいです。はじめのうちは、研究者だけに聞いてもらうつもりでした。ですが、コシノさんは、よく知られたファッションデザイナーです。コシノさんがくるのなら参加したいとねがう人も、少なくないでしょう。そう判断をして、私たちは当初の姿勢をあらためました。近所の人たちにも、会場へきてもらったのです。
告知がまぎわになったせいでしょう。そう多くの聴衆がおしかけたわけではありません。ですが、来場者のなかには、コシノさんがデザインされた服をまとった女性もいました。彼女は受付で、自分の衣裳を指さしながら、うきうきした御様子で、おっしゃったそうです。「これ、ヒロコ コシノよ」と。
つげられ、私はかみしめました。私たちは、地域の人に、ささやかなしあわせをとどけることができている。良かったな。これからもこういう接点はだいじにしていこう、と。