COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第32回
井上章一(所長)
2023年5月29日
先々月(2023年3月)、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝トーナメントが行われました。野球の国際試合です。日本の選抜チームは、劇的な優勝をとげました。多くの日本人が、歓喜でわきたったものです。
私も、もちろんうれしく思いました。ですが、同時に不安もよぎります。ヤクルトの村上がめざめた。DeNAの今永が、すばらしい投球を見せている。読売の岡本が、ホームランをいいところでうちこんだ…。そこに、おびえを感じたのです。
私は、長年、阪神という球団を応援してきました。日本国内の、同じリーグにぞくする村上たちが覚醒するのは、こまります。阪神のライバルとなる彼らには、くすんだままでいてほしい。ありていに言えば、そう思ったのです。
世界を相手どった日本の活躍を、あなどるつもりはありません。ですが、私にはいたってローカルな阪神愛もあるのです。そのことを、身にしみてかみしめました。同時に、地域愛は愛国心にたいする防波堤になると、感じいったしだいです。