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連載記事
京都の端から、こんにちは 第24回
井上章一(所長)
2022年9月29日
誰かをなじる時、よく京都人は反語的な物言いを口にします。上司が部下をしかる場合もそうですね。時間にルーズな人へは、「ええ時計もってるみたいやな」と言ったりするわけです。静かにしろという意志を、「君は元気やな」という言い廻しでつたえたりもしますね。
ほめ殺しの皮肉を、京都ではよく耳にします。私も、さんざん聞かされてきました。言われると傷つきますよ。ストレートに遅刻をするなとたしなめられるほうが、精神衛生にはいいですね。ですから、私はなるべく口外しないよう、つとめています。
しかし、先日、ハラスメント防止の講習会で意外な説明を聞きました。京都的な皮肉は、ハラスメントに該当しない。そう、弁護士の先生はおっしゃるのです。表面的には、悪口雑言になっていないからなんでしょうね。おすみつきをもらった私は、いやな所長になっていくかもしれません。「君は、おりこうさんやな」。そんな言葉を乱発する上司になってしまいそうな気がします。
なってしまったら、ごめんなさいね。