COMMUNICATIONS
連載記事
京都の端から、こんにちは 第14回
井上章一(所長)
2021年11月29日
前にものべましたが、くりかえします。私はいまだにパソコンを、もっていません。原稿はこの文章もふくめ、みな手書きです。
パソコンのおかげで漢字をわすれてしまった。そうぼやく人が、けっこういます。パソコンは、ローマ字で入力した言葉を、すぐ漢字にかえてくれますよね。そのため、漢字を自分の手で書く機会が激減する。漢字の形や筆順が想いだせなくなった。そうなげく声を、よく耳にします。
さて、私はパソコンをつかいません。漢字もみな、自分の手で書いています。多くの漢字を、指と手でなぞってきました。それでも、わすれてしまった漢字は、たくさんある。けっきょく、老化なんでしょうね。私はおとろえたんですよ。
パソコンは便利ですよね。漢字が書けなくなった理由を、機械におしつけることもできるわけですから。ほんとうは、自分がボケてきただけかもしれない。そこからは目をそむけ、パソコンのせいだと言いのがれる。そんな口実を、人にあたえてくれるんですから。